谷川選手、スペイン出発前に抱負を語る
(そして離日直前には日本記録樹立!!)

陸上競技部OB会会長 呉羽正人

 忙しいスケジュールの中、8月9日、都内港区某所にて、谷川聡さんと、陸上部OB会から特派員待遇でスペインに行く松本里砂さんと呉羽の3人が雑談をしたときの模様をお知らせします。

呉羽(以下K)『谷川君、世界陸上出場!』って同窓会のホームページに掲載されてるんだけど。(谷川氏は海外遠征と北海道合宿でそのことをこの日まで知らなかった)
谷川なんか、恥ずかしいですね。
陸上部のOB会の時に、学校の校舎に垂れ幕かなんかで『谷川君世界陸上出場おめでとう』とかやったらいいのにとか言ってたんだよ。
谷川東京は(壮行会など)なんにもないんですよ。地方だと市長さんとか出てきてやるらしいんですが。
会社ではやったんだ。
谷川(所属するミズノからは)5人出ますからね。社長も喜んでました。
さて、世界陸上の代表になった、ということについては。
谷川あんまり大きな感激というのはないですね。海外遠征のひとつ、という感じです。
入れ込み過ぎてもダメだよね。
谷川現地に行けばまた違うのかもしれませんが。
大イベントでしょうから、盛り上がるよね。ラテン系の人はお祭り好きそうだしなあ。
松本(以下M)世界陸上クラスになると観客のマナーはいまいちらしいですね。選手を集中させてあげることを知らなくて、スタートラインについても拍手が鳴り止まなかったりする。
本当に陸上競技の好きな人以外も、観客として見に来るということだね。
谷川家族(ちなみに谷川氏は独身)も特に反応ないですね。来年シドニー行くなら見に行くとか言ってますが。
来年のシドニーオリンピックも当然視野に入れてるわけだよね。
谷川そのために、この世界陸上で結果を出すというのが非常に重要です。110MHでは(日本人選手は)過去に2次予選までしか進出したことないんですよ。だから自分が新しい歴史を作る必要があります。ただ、世界で50位までのうち、アメリカの選手が40人くらいですから(1カ国3人までしか出られないために、37人は出られないことになるので)チャンスは十分にあると思ってます。
そうすると、世界との差が大きいといわれているこの種目でも、日本記録を出して、準決勝以上に行けば、来年の展望もぐーっと開けるわけだね。
気温が38度とかになるのが、記録を期待する面では不利な要素ですね。
でも日本記録は今年中には出せるでしょう?
谷川出します(キッパリ)。
秋以降、照準をあわせる大きな大会はあるの?
谷川TOTOスーパー陸上がありますね(国立競技場)。TOTOは今回からスポンサー降りるみたいですけど。
話はちょっと変わりますが、高校時代のクラブ生活っていうのはどうだったんでしょう。
谷川小学、中学とリトル、シニアで野球をやっていたのですが、肩を壊してやめまして、それで陸上をはじめたんです。高校時代は関東大会も行ってないですし、競技の面ではそんなに印象ないんです。合宿のときは先輩に『呉羽さんていう、コワイ先輩が来るかもしれない』って脅かされて、来たらやだなあとか。
んな、アホな。
谷川「好きだからやる」っていう感じですね。大学や大学院に行くときも、陸上以外のことで選んで、陸上は好きだから続けているという今に続く姿勢ができたのが、高校時代ってことですね。
スペインには私、応援に行きますから。
谷川えーっ。それはすごいですね。感激です。
ホテルの値段なんか吊り上っちゃって、大変なんですよ。一泊3万6千円とか。もうちょっと安いところ確保できたからよかったんですけど。
OBでも応援に行きたいという人はいるんですが、なかなか実際に休暇取ってって言うのは難しいよね。今回、松本君がスケジュールを調整してくれたので、OB会を代表してというものもこめて。現地の状況もレポートしてもらおうと思っているんで、特派員ですね。同窓会会長の堀口さんからも、女性の海外旅行に加えて、現地での任務にくれぐれもお気をつけてと、のメッセージをいただきました。
ありがとうございます。スペイン語とか全然わからないんですが、体当たりで行ってきます。
今後、大きな目標としては。
谷川あと2年くらいのうちに一応集大成っていうのはやりたいですね。
日本人としては前人未到って言うレベル?
谷川競技の世界は記録、結果が全てという面があるので、それを残したいです。
八王子東高関係者になにかひとこと。
谷川えー。なんか適当に作っておいてください。え、まあ、精一杯がんばります。
帰国したらゆっくり飲みましょう。じゃあ、頑張ってください。
頑張ってください。

 話を通じて感じたのは、非常に気負いのなさ、謙虚な気持ちということです。強くなると、いろいろな偉い人が寄ってきてアドバイス?をするといいます。彼はそれを試してみて自分に合うか判断し、改良したりする。短期間で見ると回り道に見えるものもあるが、それは決して無駄ではないと言っています。強くなると天狗になる人が多いなかで、谷川君と話していると、目の前の記録や順位にあせったり一喜一憂せず、引退までに集大成を、しかも新しい歴史の階段を上りながら、というのは強い意思を感じますし、ぜひそうあって欲しいと思います。世界陸上に出場することで、さらに上のレベルに向けての契機となることを願っています。